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お嫁さん体験談

Living in Natuire.

 “大空と大地の中で・・・”。北海道足寄出身の歌手、松山千春さんの多々ある名曲の中でも特に有名な曲の1つ。この曲を初めて聴いたのは私が中学1年生の時だった。入学後初めての文化祭で、ある3年生の先輩がギターを弾きながら数曲、松山千春さんの歌を歌ったのだが、はっきりと思い出せるのはこの曲だけ。当時の私はこの曲にとても感動し、その後しばらくの間、松山千春さんの歌ばかり聴いていたのを今も覚えている。

 それから月日は経ち、いつの頃からか、そしてなぜなのか自分自身でも良くわからないが、心のどこかに“農業を体験してみたい”という気持ちが芽生えていた。でも、それは本当に漠然としたもの、ましてや生活のため、仕事やめてまでとはできないと半ば諦めていた。

 でも、夢は叶うものというか、本当に不思議なことがあるものだ。両親との約束でもあり、Uターンを考えていたある日、偶然“農業担い手育成センター”のホームページを見つけすぐにアクセス、あっという間に農業を体験できることとなった。
この私の突拍子のない挑戦に両親は最初反対したが、何でも自分のおもった通りに行動するという私の性格を良く知っているので、最後には渋々賛成、北海道十勝での実習生活が始まった。

 1ヶ月間の畑作実習をして後、別の農家での酪農実習を体験、それが縁となり、ここ別海に嫁ぐことになった。考えてみればこれもまた不思議なこと・・・。知り合った頃、おかしな話だけど、これが運命の出会いなのかなと思ったりした。そんな出会いに心をときめかせながら迎えた結婚式。あれからもうすぐ2年が経過しようといている。

 この2年を振り返ると、長かったような気もするが、毎日があっという間に過ぎていったようにも思える。 牛は北海道に来るまで見たことも触れたこともない。乳牛は雄雌に関わらず、牛乳を出すもの、また搾乳は手搾りでするものと思っていた、そんなレベルから始まった私の酪農生活。当初、仕事中も月に1度は牛の糞に足を滑らせは転び、よく夫に笑われていた。 餌やり、草やり、掃除・・・1つ1つの作業に時間を要した。牛たちも私の立場をよく心得ているらしく、何を言っても私の言うことはぜんぜん聞いてはくれない。夫の一声にはすぐに反応するくせに。そんな牛達の態度から私がまだまだ認められていないことがよくわかった。

 夏、牧草の収穫はとても大切な仕事。私は夫が刈った牧草を集めるという作業をする為、トラクターに乗った。実習の時にもトラクターには乗っていたが、その大きさはかなり違っていたこと、また、十勝の畑に比べここの畑はかなり勾配が強く、転倒への不安に気を奪われ、きれいに集められない、また集めてもまっすぐでなく、曲がっているとことが多々あり手伝うというよりは、むしろ邪魔をしているような感じだった。

 こうして今までのことを振り返ってみると、いろいろ失敗をしながら、何とか少しずつ成長はしているように思える。なかなか私のことを認めてくれなかった牛達の扱いにも慣れ、中には憎たらしいのもいるが、とてもかわいく思えるようになってきた。忙しい毎日だが、傍に寄って来ては私の服や手指をペロペロと舐める仔牛たちを見ていると、なんだか心が癒され、また頑張ろうという気持ちになれる。

 もう一つ、私を癒してくれるものがある。それは季節毎にいろんな姿見せてくれる大自然の素晴らしさである。うちの牧場は、あたり一面牧草地に囲まれている。最初はこの何もなさに驚いたけど、作業中に見える、昇る朝日、そして沈む夕日の美しさには本当に感動した。

 また、春から夏にかけ、どんどん緑色を増す牧草地、そこで美味しそうに草を食べそして寝る牛達。秋にはまわりの木々の葉が赤や黄色へとどんどん色を変え、そして枯れ葉となって散ってゆく。ただ土色を呈すだけの牧草地に冬、雪が積もり、一面真っ白な世界が広がる。枝に降り積もった雪が太陽に照らされ、キラキラ輝く光景は何度見ても感動する。
でも、時には強風や吹雪など、感動ではなく、自然の脅威を実感することもある。そんな時にはこの状況が苦痛で、嫌になったりするが、少しでも感動することがあれば、また元気になれる単純な私。大自然の中で生活することの厳しさ、そして楽しさをいろいろ感じながら、これからも私なりに、ここでの生活を楽しんでゆきたいと思う。

 結婚前にはほとんど聞くこのなかったラジオ。牛舎での作業中のほとんどの時間、優先のチャンネルはラジオにセットされている。そのラジオから時々流れてくる“大空と大地の中で”を聴く度に、十代の頃この曲を初めて聞いたときの感動を思い出す。あの時、私は将来の自分が北海道で暮らすことになるなんて夢にも思っていなかっただろう。ここで生活している今、実感できるその歌詞に元気づけられながら、今日もまた頑張ろう。大空と大地のなかで・・・。

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